豆苗は、「えんどう豆」の若い葉と茎を食べる緑黄色
野菜です。えんどう豆は多彩な「顔」で食卓に登場しま
す。用途によってさまざまな品種が栽培されており、若
いサヤごと食べるのが「サヤエンドウ」と「スナップエ
ンドウ」。未成熟の「実」を食べるのが「グリーンピー
ス」。みつ豆や甘納豆に使われる完熟した豆が「赤エン
ドウ」や「青エンドウ」です。豆苗が甘く、ほんのりと
豆の香りがするのは、そのためです。
えんどう豆の歴史は古く、紀元前7000年ころから
南西アジアで作物として栽培され、ツタンカーメンの
墳墓からも発見されています。そのえんどう豆の若い
芽を摘んで「豆苗」として食べ始めたのは中国で、当時
は一部の高貴な人や特別な行事でしか口にできない
稀少野菜だったそう。
日本に伝来したのは、1970年代の日中国交回復以降。
しばらくは高級中華料理店でしか扱われておらず、
一般の食卓とは縁遠い食材でした。
中国では豆苗は畑に植えられ、春に出た新芽を手摘み
するという栽培方法がとられていました。
一方、日本では1990年代半ばから、徐々に植物工場で
水耕栽培で生産されるようになります。
天候に左右されない、リーズナブルな野菜として家庭
の食卓に浸透していきました。ここ数年は、栄養価の
高さや使い勝手のよさ、再収穫の楽しさなども注目さ
れています。