いい大人のための食育会議

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Survey Report

仕事の質を高める食生活

食事と仕事に関するアンケート調査結果紹介

 「いい大人」にとって仕事は、日々の生活から切っても切り離せないもの。しかし、「やる気が出ない」「思うように成果が上がらない」とお悩みの方も多いのでは? その背景には、毎日の食生活が関係しているのかもしれません。
 村上農園は、20〜50代の働く男女400名を対象に、「食事と仕事に関するアンケート調査」を2018年1月下旬に実施しました。

【食事と仕事に関するアンケート調査 結果概要】

“いい仕事”は栄養バランスの良い食事から

 自身の食事について、バランス良く栄養が摂れていると思う人は3割程度であることがわかりました。一方で、栄養バランスの良い食事が摂れていないと思う人にその理由を聞くと「外食や中食(コンビニ食・惣菜購入など)ばかり」「忙しくて栄養バランスまで考慮している時間がない」「栄養バランスよりも食費を安くすることを優先している」など、食の多様化が進むなか、多忙で栄養バランスを考慮する時間が割けなかったり、経済的・精神的な余裕が持てなかったりしている状況が浮き彫りになりました。
 また、自身の仕事に対し「高い成果を出しているか?」という質問では、バランス良く栄養が摂れていると思う人とそうでない人で、結果に20ポイント以上の差が現れました。

食事の栄養バランスと自身の仕事の成果(自己評価)

野菜の機能を理解すれば、野菜の摂取量が増え、
栄養バランスも改善する

 野菜の摂取量について聞いたところ、バランス良く栄養が摂れていると思う人では、野菜をある程度摂れていると感じている人が多く、バランス良く栄養が摂れていないと思っている人では、9割が野菜不足を感じていることが分かりました。
 さらに、野菜の抗酸化作用に関する認知度を聞いてみると、認知度が高い人ほど野菜を摂取しているという状況もわかりました。
 野菜が不足気味になる理由には、「野菜の値段が高い」「調理に手間や時間がかかる」「調理レパートリーが少ない」などが多くあげられました。

野菜の抗酸化作用の認知度と野菜の摂取量

多くのビジネスパーソンに食事指導を行う
内科医・渡邉美和子先生が教える

“仕事の質を高める食生活のコツ”

「食事と仕事に関するアンケート調査」の結果から、食事の栄養バランスが、仕事の成果ややる気に影響しているかもしれないことがわかりました。では、栄養バランスを良くするためにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?
 東京ミッドタウンメディカルセンター特別診察室長として多くのビジネスパーソンを診察し、食事指導も行っている渡邉美和子先生に、ちょっとした工夫や心がけでできる仕事の質を高める食生活について伺いました。

「栄養バランスが大切」「野菜が大切」―外食を強いられることの多いビジネスパーソンのほとんどが認識していることだと思いますが、自分にとっての具体的なメリットや実感がないと、多忙な日常生活の中でなかなか十分な量の野菜摂取が実践できている人は多くないものです。しかし今回のように、野菜の機能を知ることで仕事の成果にまで影響がある可能性が数値化されると、ぐっと心をつかまれる方もおられるのではないでしょうか。

 恥ずかしながら私自身、学生時代は「お菓子で生きている」と言われるくらい不規則な食生活でした。しかしバブルの最中、おしゃれなレストラン情報を集めたタウン誌の流行をきっかけに「気合を入れて食事をとる」ようになり、図らずも「食」を強く意識したことが、体調に明らかな好影響を与えていることを実感して驚きました。医学生として身体の勉強が進むのと相まって「口にする栄 養素は体調に直結するのだ」という感覚がストンと自分の中に落とし込まれたのです。

 診療でもこの「ストン」を患者さんに実感いただけるように工夫しています。例えば、まずその方にとって「実行可能な習慣」にフォーカスすることです。毎日接待で外食だからと健康的な食生活を諦めることはありません。高カロリーと思われがちなフルコースもエレガントに食すれば 「おかわり・大盛り無料の早食い」よりよほど体に良い食べ方ができることは想像いただけるでしょう。いい仕事をするために不可欠な「集中力、持久力、気力」を高めるためのエネルギー源はまさに食事から得られるのであって、同じ食べ物でもどう食べるかだけでその効果は大きく変わります。

 次のステップは、何を選んで食べるかです。大地の恵みである野菜は非常に分かりやすい、かつ間違いなく健康に寄与する食べ物です。そして野菜は「旬」を意識することでぐっと美味しく、栄養も豊かになり、さらにお財布にも優しくなります。昨年から野菜高騰が言われ、アンケート結果でも野菜不足の原因の上位が値段の高さになっていましたが、最近はワンコインで買える豆苗やその名の通り栄養分がぎゅっと凝縮された高成分野菜なども入手しやすくなりました。

野菜を十分摂っていないと思う理由

 紫、赤、オレンジ、緑・・・・と野菜の色素にはアントシアニン、リコピン、βカロテン、クロロフィルとさまざまな栄養素が含まれます。ビタミン、ミネラル、食物繊維も簡単に摂取できて、目にも舌にもおいしい、食感も豊かなのが野菜の素晴らしさです。野菜をサラダとして生で食べる場合も、 私はサバ缶や鶏肉、エビ、しっかり水切りした豆 腐、牛肉や豚肉などボリューミーなタンパク質を のせるパワーサラダにすることが多いです。 タンパク質が足りていない方は案外多いのですが、ビジネスパーソンには欠かせない栄養素です。

炭水化物としては、スーパーフードとして注目され最近はスーパーマーケットなどでも入手しやすくなってきたキヌアやワイルドライス、ファッロなどの穀物をゆでて薄めにパックして冷凍庫に常備。必要分をパキパキ割って、サラダに無造作に和えればドレッシングやオイルのからみも良くなり、自然とよく噛むことも促され、一品だけで腹持ちも十分です。ドレッシングをノンオイルにされる方も多いようですが、良質脂質を摂取することは体調管理に欠かすことができず、かつ満腹感にもつながります。

フレッシュなオリーブオイルは香りもよくコクも深まり、それだけで手をかけた料理を食べているような、贅沢な気持ちになれます。脂質は、「減らす」のではなく「良い脂質」にこだわるように患者さんには申し上げます。「良い脂質」と言えるのは、まずは酸化していないフレッシュな油であること、魚油やエゴマ油、アマニ油などのオメガ3脂肪酸といった抗酸化力(カラダを錆びさせない力)や抗炎症効果(血管老化もガンも炎症と考えられています)が高い油であること等が挙げられます。

 食のコツは奥が深いですが、全てを完璧にする必要はなく、ライフスタイルに合わせてできるところから、どう食べるか、何を食べるか、とまず意識をしてみてください。
 栄養素豊かな野菜をできるだけ摂ること、タンパク質を欠かさないこと、良質脂質を意識すること。皆さんなりの工夫で「食生活から仕事の質を高める実感」を手にしていただきたいと思います。

Profile

渡邉 美和子

内科医師。東京ミッドタウンメディカルセンター特別診察室長。臨床の場で会員制医療における健康危機管理や医療相談に携わるほか、一般社団法人メディカルファーム代表理事として医学的知識を生活に浸透させるための医療事業に関わる。日本抗加齢医学会、日本内分泌学会をはじめ医学学会でのお弁当監修など、独自の食指導に力を入れている。

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