スルフォラファンは、ファイトケミカル※の一種で、ブロッコリーに微量に含まれる成分です。ピリッとした辛みを持ち、解毒力や抗酸化力を高める作用があることが報告されています。
スルフォラファンに最初に注目したのは、先端医学の著名な研究者である米国ジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士です。スルフォラファンの働きのメカニズムを解明しました。
スルフォラファンの働き
人の体は、食品や空気中などに微量に含まれる「有害物質」や、呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が変化することで発生する「活性酸素」によって日々ダメージを受けています。これらのダメージは老化の進行を早め、さまざまな体の不調を引き起こします。
一方で人の体には、有害物質を無毒化して体外に排出する「解毒力」や、活性酸素を消去する「抗酸化力」が備わっていて、それらの力で細胞がダメージを受けるのを防いでいます。
スルフォラファンには、解毒や抗酸化で重要な働きをする「酵素」の生成を促す作用があります。そのため、スルフォラファンを摂取することで体の解毒力や抗酸化力を高めることができます。スルフォラファンによって生成が促される酵素は100種類以上あり、それらは「解毒酵素」と「抗酸化酵素」と呼ばれ、体内のあらゆる臓器で活躍しています。
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スルフォラファンの濃度の違い
スルフォラファンは、ブロッコリーの新芽(スプラウト)の状態に多く含まれることがわかっています。また、見た目は同じように見えるブロッコリースプラウトでもスルフォラファンの濃度は、品種、生育ステージ、栽培方法などによって大きく異なります。
村上農園では、高濃度にスルフォラファンを含むことが認められた、米国ジョンズ・ホプキンス大学の認定基準を満たす種子を用いて、同大学の指導のもとに、ブロッコリースプラウトを生産しています。
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スルフォラファンの研究成果
米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授であるポール・タラレー博士は、1990年代にブロッコリーに含まれるスルフォラファンに腫瘍の形成を抑制する効果を発見し(マウスを用いた動物実験)、高濃度にスルフォラファンを含むブロッコリースプラウトを開発して一大ブームを巻き起こしました。
以来、世界の研究機関でスルフォラファンに関する研究が進み、さまざまな作用があることが次々に明らかになっています。
ピロリ菌に対する殺菌作用と炎症抑制作用が報告されています
ピロリ菌は、タバコや肝炎ウイルスと並んで世界保健機構(WHO)が明確に認めるがんの危険因子です。日本人の2人に1人が感染していると言われています。
スルフォラファンには、このピロリ菌に対する殺菌作用があることが報告されています。(Fahey JW., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 2002, Vol.99, pp7610-7615.)
また、スルフォラファンを高濃度に含む発芽3日目のブロッコリースプラウトを継続摂取した結果、胃粘膜の炎症が抑えられ、便中のピロリ菌量が減少したという研究結果もあります。(Yanaka A., Cancer Prevention Reserch.Vol.2, 2009, pp353-360.)
スギ花粉による炎症反応を緩和する可能性があります
スギ花粉が体内に入ると、イムノグロブリンE(IgE)とよばれる抗体が体内で生成されます。このIgEにはヒスタミンという成分の生成を促す作用があり、ヒスタミン量が体内で増えることで炎症が引き起こされ、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状が現れます。
スルフォラファンにはこのIgEの生成を抑制する作用があることが細胞を用いた試験で報告されています。(Junxiang W.,The Journal of Immunology, Vol.177, 2006, pp3477-3483)
また、花粉症モデルマウスを用いた試験でも、ブロッコリースプラウトエキスの摂取によって、スギ花粉抽出物の投与で誘導される好酸球やIgEの生成が抑制されました。(カゴメ株式会社と東京理科大学の研究結果より。2010年3月の日本薬学会第130年会にて発表)
原因物質アセトアルデヒドの代謝を促進する可能性があります
飲酒後に起こる頭痛や吐き気などの悪酔い症状は、アルコールが代謝される過程で発生するアセトアルデヒドという成分の血中濃度が高くなることで引き起こされます。
マウスを用いた実験によって、スルフォラファンには、このアセトアルデヒドの代謝に関わる酵素の生成を促し、代謝を促進する作用があることが報告されています。(Ushida Y., Alcohol Alcohol., 2013, Vol.48, pp526-534.)
活性酸素による便通の乱れを整える可能性があります
近年、体内に過剰に発生した活性酸素が、排便に関わる筋肉や腸液の分泌にダメージを与え、便通を乱す一因になることが明らかになってきました。
消化器内科の専門医である筑波大学の谷中昭典教授は、スルフォラファンの抗酸化作用に注目。スルフォラファンを高濃度に含む発芽3日目のブロッコリースプラウトを1日20g、4週間食べ続ける試験を行い、便通スコア※が改善されたという研究結果が報告されています。詳細はこちら(Yanaka A., Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition, Vol.62, 2018, pp75-82)
血中のAGE濃度を低減させる効果が期待できることが報告されました
AGE(エージーイー)とは、タンパク質と糖が結びつき、熱によって変性した物質のことです。体内に蓄積すると、見た目や体調にさまざまな衰えを生じさせることから、老化の原因物質のひとつとして今注目を集めています。
2015年7月、ブロッコリー スーパースプラウトの摂食に血中のAGE濃度を低減させる効果が期待できることが報告されました。研究では、健常な成人25名が2カ月間スルフォラファンを高濃度に含む発芽3日目のブロッコリースプラウトを毎日25g摂食。その結果、摂食前後でAGEの血中濃度が有意に減少しました。(グラフ参照)
過去の研究で、スルフォラファンにAGEの形成を抑制する効果があることも報告されています。AGEは体内の酸化ストレスで形成されることも知られていることから、スルフォラファンの抗酸化作用がAGEの形成を抑制したと推測されています。
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スルフォラファンを効率よく摂る
有用成分スルフォラファンは、『前駆体』と呼ばれる状態でブロッコリースプラウトに含まれています。この前駆体は、ブロッコリースプラウトの細胞が壊れる際に、同じくブロッコリースプラウトに含まれる「ミロシナーゼ」という酵素と出会い、スルフォラファンに変化します。
このミロシナーゼという酵素は、熱に弱く加熱によって壊れてしまう性質があります。そのため、野菜からスルフォラファンを効率よく摂取するには、「生」のまま「よく噛んで食べる」ことが有効です。ただし、加熱によってミロシナーゼが壊れた場合でも、小腸に存在する腸内細菌が持つ酵素によって、スルフォラファンの前駆体の一部がスルフォラファンに変わり、体内に吸収されることが確認されています。(Talalay P., Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention.Vol.10, 2001, pp501-508)
スルフォラファンを生成するのに必要なミロシナーゼという酵素は熱に弱く、加熱によって壊れてしまうことから、生で食べることが重要です。
よく噛んで細胞を壊すことで、スルフォラファンの吸収率は高まります。ジュースやスムージーにするのもおすすめです。
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