村上農園では、ヨーロッパの高級レストランに対してB to Bビジネスを展開するオランダの農業生産法人コッパート・クレス社と2014年10月に相互ライセンス契約を結びました。
村上農園は、コッパート・クレス社が欧州で商品化している、形、味、香り、食感などに際立った特徴を持つ野菜を日本で生産し、業務用の新ジャンル野菜として提供する事業を来夏スタートします。コッパート・クレス社では村上農園が日本で生産・販売している「豆苗」や「ブロッコリー スーパースプラウト」といった商品を欧州で生産し、一般消費者向けに提供します。
コッパート・クレス社は、首都アムステルダムから南西に車で1時間半ほど下ったウェストラント市に本社を構え、欧州2ヶ所と米国にも拠点を持つ農業生産法人です。最新鋭の植物工場を有し、刺激的な味や香り、美しい見た目など、個性的な野菜を生産しています。
Koppert Cress B.V. http://www.koppertcress.com
コッパート・クレス社社長ロブ・バーン氏(左)とオランダのウエストラント市にあるコッパート社の植物工場(右)
当社の生産施設を訪問するロブ・バーン氏(左)とコッパート・クレス社を訪問する当社代表取締役社長村上清貴(右)
2014年10月31日に行われた日蘭食料農業会議(東京・虎ノ門ヒルズ)にて、
日蘭協力事例としてオランダ国王王妃両陛下にプレゼンテーションを行い、両陛下立ち会いのもと、調印式を行いました。
オランダは国土面積が日本の10分の1と狭く、九州ほどの面積。低温で日照時間が短いなど、農業に不向きな環境であるにもかかわらず、農産物輸出額で世界第2位(2011年)を誇る農業大国です。
オランダ農業の強さの理由の1つに、世界一の施設園芸技術があります。これは、オランダが国をあげて農業技術の研究開発や人材育成に予算を投じてきた成果で、この技術により高品質の野菜や花が安定的に生産され、海外に輸出されています。
コッパート・クレス社があるウェストラント市はオランダのなかでも特に施設園芸が発展した地域として知られ、今年3月には同市内にあるオランダ最大の栽培施設に安倍首相が視察に訪れるなど、日本が目指す“攻めの農業”の参考例として新「蘭学」が今注目されています。
村上農園の生産施設でもオランダの農業技術を取り入れています。写真は豆苗を生産する山梨北杜生産センターの様子。
(山梨北杜生産センターについて詳しくはこちらをご覧下さい。)
オランダと日本の国交は、約400年前にさかのぼります。豊後(今の大分県)沖に漂着したオランダ船に時の権力者徳川家康が興味を示したことをきっかけに、1609年に本格的な通商関係がはじまりました。その後の鎖国政策によって西洋で唯一の貿易相手国となったオランダからは、医学や造船、治水技術など多くの知識が日本にもたらされました。
西洋の学問:鎖国下の日本において、オランダからもたらされる西洋の知識は「蘭学」と呼ばれ、翻訳書『解体新書』が発行されたことをきっかけに急速に全国に広がっていきました。蘭学は当時の日本の多くの学者に支持され、その後の近代化に影響を与えました。
芸術:隆盛期にあった17世紀のオランダでは、レンブラントやフェルメールなどの芸術家が多く活躍し、絵画技術が著しく発展しました。日本にも写実的な画法や立体表現など西洋画の技術が多く伝えられ、平賀源内、小野田直武らによって西洋の技法を真似て日本の道具を使って描いた「洋風画」が描かれました。
食ベ物:コーヒー、ビール、チョコレートなどの嗜好品やパセリ、トマト、ジャガイモ、キャベツといった野菜など、多くの食べ物が長崎の出島におかれたオランダ商館を通じて日本に伝えられました。